開発ストーリー Development story

vol.03 ストイックなまでのルーティンが味を守る。吉風の味噌ラーメン

大通りから少し入った住宅街。真っ赤な看板が目印の「麺や 吉風」。現在は3代目の小岩匠氏がオーナーを務めている。初代オーナーの時代からここ吉風で修行してきた小岩氏は、吉風のラーメンを作り続けて15年以上。個性的でロックミュージシャンのような風貌だが、そのスタイルは極めてストイックだ。
吉風では、様々な味のラーメンを楽しめるが、看板メニューとも言えるのが味噌ラーメン。ベースは鶏ガラだが、鶏ガラと丸鷄(親鳥、肉のついたままの鶏)のみでとった出汁に、昆布とタマネギだけを加えたシンプルな調合。だが、それだけの素材で完璧に出し切るには、とても時間がかかるのだ。故に、吉風の始動は早朝になる。
常に同じ最高の味を提供し続けることが飲食店の使命。小岩氏は、毎朝同じ時間に火を点ける。同じタイミングで仕込みをする。それでも誤差が出てしまうが、それを少しでも減らし、完璧な味に仕上げるためのルーチンを非常に大切にしている。「自分はプロだと思っていない。だからいつも初心にかえって、寸胴に鶏ガラを入れるんだ」まさにプロを感じさせる言葉だ。


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吉風と鈴木製麺との出会いは、初代オーナー鈴木氏の時代に遡る。当時鈴木氏には、目標とする麺のイメージが明確にあった。しかし、取引していた製麺所は、そのオーダーに応えることができなかったという。思い悩んでいた時、共通の知人を介して鈴木製麺を知った。
一刻も早く、吉風の味を完成しなくてはならない。すぐに、開発はスタートした。吉風のスープに相性が良い麺が大前提だが、目指すのは、スープがバランス良く染み込む低加水麺。鈴木製麺は、そのオーダーにすばやく応えた。


img02まずは、使用する小麦粉の選定。産地にも銘柄にも精通しているが、スープとのマッチングが重要だ。そして食感。もちゃっとした感じが残らない、口当たりの良さを出すために、独自のミキシング法を研究した。
試作をしては改良。お互いが納得できるまで、何度も繰り返した。そしてついに理想の麺が誕生。スープに馴染む柔らかなストレート麺。完成に要した期間は、約1ヶ月。鈴木氏の情熱と、それに応える鈴木製麺の熱意が、驚きのスピードを生み出した。


img01だが、そこで開発が終わったわけではない。麺のクオリティを維持継続させていくこと。さらに精度を高めていくことも重要だ。飲食店と長く信頼関係を築いていくために、鈴木製麺は努力し続ける。その結果、三代目の小岩氏からも、今尚、絶大な信頼を得ることができているのだ。小岩氏もまた、最高のスープと最高の麺が重なり合う味を守り続けている。その味は、間違いなくこの味噌ラーメンに宿っている。


会津には「喜多方ラーメン」、中通りには「白河ラーメン」といったご当地ラーメンがある。しかし、浜通りには、独自に発展したラーメンがないという。昔から、いわきは東京からの文化や流行がいち早く入ってくる。新しいものへの反応が早いが、冷めるのも早い。故に、様々なラーメンブームがやって来ては去り、なかなか定着することがないのだ。
「同じ職人魂、同じ志を持っているからこそスープと麺が合う」小岩氏は語る。いわきのラーメン事情は決して甘くないが、がっちりとタッグを組んだ両者の結晶、吉風のラーメンを求めて、今日もたくさんのお客で賑わう店内に、繁盛し続ける理由を見た。


麺や 吉風(きっぷう)

住所:福島県いわき市平南白土1-6-7
いわき駅から車で約8分。駐車場あり。
営業時間:[火~金]11:00~15:00・17:00~21:00
[土・日]11:00~20:30
定休日:月曜・第4火曜
TEL:0246-25-1161